不動産用語集

用語の頭文字

あ行

IHクッキングヒーター

IHとは、Induction Heaterの頭文字を取ったもので、「電磁誘導加熱器」という意味である。

IHクッキングヒーターは、トッププレート(結晶化ガラスなどの板)の下に、磁力発生用コイルを敷いたものである。
トッププレート上に鉄製の鍋を置いた状態でコイルに電流を流すと、電磁誘導により鍋底に電気抵抗が生じ、電気抵抗により鍋底が加熱される。

このような原理により鍋底全体を直接加熱するので、周囲の空気へ熱が逃げにくく、熱効率が80%以上と高いという特長がある。 2キロワットのタイプのIHクッキングヒーターは、4,000キロカロリーのハイカロリーバーナーに近い火力を持つとされている。

ただし電磁誘導により加熱を行なうため、磁力の影響を受けやすい調理器具(鉄製のフライパン、鉄鍋、18-0のステンレス鍋、鉄ホーロー鍋など)を使用する必要がある。アルミ鍋、銅鍋、土鍋、耐熱ガラス鍋などは使用することができない。また、鍋底が平らでない鍋(中華鍋など)も使用できない。

このため、アルミ鍋・銅鍋・超耐熱ガラス鍋などが使用できるクイックラジエントヒーターとIHクッキングヒーターを組み合わせたタイプの調理用ヒーターが開発され、普及しつつある(詳しくはラジエントヒーターへ)。

またIHクッキングヒーターを使用するには、家庭内の分電盤において、IHクッキングヒーターだけに使用する200Vの専用回路を設置する必要がある(ただし予備の回路がある場合、その回路を利用できる)。

ICT

情報技術と通信技術が複合化・一体化した技術概念。英語のInformation and Communication Technologyの略語で、情報通信技術ともいう。

ICTは、ものごとのデータ化、データの分析・総合化、情報の交流ネットワーク化などの技術が組合わさった幅広い技術をさす概念である。たとえば、スマートハウス、交通系ICカード、POSシステム(販売時点情報管理)、ソーシャルメディアはいずれもICTに支えられているなど、その応用範囲は広く、コンピュータ技術に重点を置いたIT(Information Technology)を包含すると考えてよい。

一方、AI(人工知能 Artificial Intelligence)やロボット技術は、ICTと連携することはあってもそれには含めず、別の技術と考えられている。

アイランドキッチン

壁に接することなく独立して設置された調理台の形式。部屋の中で島(英語でアイランドIsland)のようなかたちとなることから名づけられた。

アイランドキッチンは、対面型のキッチンであるとともに、オープンキッチン(ダイニングルームや居間とつながった形式)でもある。開放感やコミュニケーション性に優れている一方、設置のために部屋の広さや強力な換気装置が必要とされる。

なお、アイランドキッチンに類似した調理台の形式として、一端のみ壁に接するかたちのもの(ペニンシュラキッチン)がある。

青田売り

完成する前に宅地や建物を売却すること。新築マンションや戸建分譲住宅の販売手法として広く使われている。

売主は事業リスクを回避し、早期に資金を回収できるなどの利点があるが、買主には、確実に建物が完成するかどうか、完成物での仕様や品質が予定どおりであるかなど、引渡しまでのあいだ不安が残りやすい。そこで、宅地建物取引業法では、宅建業者に対して建築確認前の広告や契約の禁止、手付金等の保全義務などを課している。

青地

登記所に備え付けられている公図において青く塗られた部分のことで、国有地である水路や河川敷を示す。「青道」ともいう。

青地は本来は国有地であるから一般の宅地にはならないはずだが、長い年月のうちに水路が事実上廃止されてしまって、青地を含む敷地に普通の住宅が建っていることも少なくない。

このような青地を含む敷地を持つ中古住宅を購入する場合には、青地(国有地)を国から払い下げてもらう手続きを踏むのが安全である。

赤地

登記所に備え付けられている公図において、赤く塗られた部分のこと。
国有地である道路を示すものである。

従って、本来赤地は国有地であるから、一般の宅地にはならないはずだが、長い年月のうちに道路であることが忘れられてしまい、赤地を含む敷地に普通の住宅が建っていることも少なくない。

このような赤地を含む敷地を持つ中古住宅を購入する場合には、赤地(国有地)を国から払い下げてもらう手続きを踏むのが安全である。

アトリウム

もともとはローマ時代の中庭や中庭付きの大広間のことだが、現代ではグリーンや池などを設け、人工的な自然環境をつくり出す、建物に囲まれた中庭、吹き抜けなどの内部空間を指す。

ROE

財務指標の一つで、当期純利益を自己資本で除した数値。英語のReturn On Equityの略称で、和訳は「自己資本利益率」という。

自己資本は株主が投下した資本であるから、ROEは投資の収益性を示すとされている。

RC

「Reinforced Concrete」の頭文字を取ったもの。
「鉄筋コンクリート構造」という意味である。

鉄筋とコンクリートによって、柱・小梁・大梁・スラブ・壁を造り、すべての部分を一体化した構造のこと。
鉄筋コンクリートの部材は、引っ張る力にも、圧縮する力にも強いので、地震に対する安全性が高い構造となる。
また、すべての部材がコンクリートで一体化され、部材同士の接合部は剛であるので、建築学上の「ラーメン構造」となっている。

この鉄筋コンクリート構造のデメリットは、自重が大きいため、原則的には大空間建築や高層建築に向かないということである。

イールドギャップ

投資の実質利回りと金利との差をいう。英語ではYield gap。投資判断の目安として使われる。例えば、イールドギャップが大きければ当該投資は割安であると考えられている。

イールドギャップを算出する場合の金利は、長期国債の金利や銀行からの借入金利が用いられる。

ウィークリーマンション

短期間の居住のために賃貸されるマンションをいう。「短期賃貸マンション」ともいわれる。

家具、家電製品、食器・調理器などが備わっていて、一時的な滞在の便を満たすことができる。また、賃貸住宅に比べて賃貸借の手続きが簡単である。

ウィークリーマンションの営業は、旅館業法による宿泊営業または不動産賃貸営業(貸室業)のいずれかにあたるが、その基準は明確ではない。一応の目安として、賃貸期間が1ヵ月を超えていれば貸室業であるとされている。

ウィークリーマンションを宿泊営業に充てる場合には、旅館業法による許可が必要で、一定の設備の設置等が求められる。

ウォークインクローゼット

ウォークイン、つまり歩いて入れるクローゼット、衣類の押入のこと。衣装ダンス、衣裳戸棚を指すワードローブは家具のニュアンスが強いのに対して、ウォークインクローゼットは造り付け家具、ないし部屋の意味に使われることが多い。

売主

不動産の売買契約において、不動産を売る人(または法人)を「売主」という。

また不動産広告においては、取引態様の一つとして「売主」という用語が使用される。

この取引態様としての「売主」とは、取引される不動産の所有者(または不動産を転売する権限を有する者)のことである。

ALC

「Autoclaved Light Weight Concrete」の頭文字を取ったもの。日本語では「軽量気泡コンクリート」と表記される。

「軽量気泡コンクリート」は、工場でセメント等に発泡剤を混ぜて、高温高圧の状態で養生したコンクリートである。その特長として軽量にもかかわらず強度があり、耐火性や遮音性にも優れていることが挙げられる。

オートライト

自動的に点灯・消灯する照明装置。玄関灯、廊下灯、庭園灯などに使われている。automaticとlightを組み合わせた和製英語である。

オートライトの点灯・消灯は、センサーによって制御する。センサーは目的に応じて選択することになるが、その方式には、人が発する赤外線を感知するもの(人感センサー、人が近づくと点灯する)、明るさを感知するもの(光センサー、暗くなると点灯する)などがある。

なお、オートライトには自動車や自転車の前照灯の意味もあるが、これはautomobile lightの略語であって、住宅等に使われるオートライトとは異なる用語である。

オートライト

自動的に点灯・消灯する照明装置。玄関灯、廊下灯、庭園灯などに使われている。automaticとlightを組み合わせた和製英語である。

オートライトの点灯・消灯は、センサーによって制御する。センサーは目的に応じて選択することになるが、その方式には、人が発する赤外線を感知するもの(人感センサー、人が近づくと点灯する)、明るさを感知するもの(光センサー、暗くなると点灯する)などがある。

なお、オートライトには自動車や自転車の前照灯の意味もあるが、これはautomobile lightの略語であって、住宅等に使われるオートライトとは異なる用語である。

オートロック

ドアを閉じると自動的に施錠するしくみ。和製英語で、英語ではautomatic door lock(オートマチック ドア ロック)が一般的。

マンションの出入口、ホテルの部屋などで使われている。

オーナーチェンジ

賃貸住宅の所有者が、賃借人が入居したままその建物を売却することをいう。

購入者は新たに賃借人を見つける必要がなく、投資用のワンルームマンションでよく使われる方法である。その際に、賃借人から預かっている敷金の引渡しや建物の管理ルールの引継ぎなどに注意が必要である。

オーバーバンク

もともとは登山用語で、岸壁の上部に突き出た岩、張り出した岩のことをいうが、建物の場合は、外壁よりキャンティレバーで支えられた跳ね出した床、バルコニーのことをいう。

か行

開口部

壁・床・屋根に設けられた開口部分のこと。窓、出入口、天窓などを指す。

階高

ある階の水平基準面から直上階の水平基準面までの高さのこと。

買取再販

既存住宅を買い取り、リフォーム工事を実施した上で販売する事業形態をいう。

買取再販に当たって実施するリフォーム工事が、大規模な修繕工事、耐震改修、バリアフリー改修、省エネ改修など一定の要件に該当する場合には、当該既存住宅の取得に係る登録免許税の軽減措置および、不動産所得税の軽減措置が講じられている。

家屋番号

不動産登記に当たって建物に付される番号。登記された建物を識別するための番号であって、不動産登記法に基づいて登記所が付す。建物の位置を示す住居表示とは異なるので、注意が必要である。

家屋番号は、原則として建物の敷地の地番と同じ番号が付されるが、「◯番」というように番号のみが記され、地名は表示されていない。また、同じ地番に2つ以上の建物が登記された場合には、「◯番の◯」のように枝番号(支号)が付されている。

土地の分筆や区画整理事業等によって地番が変更になった場合でも、付された家屋番号は変更されない。従って、敷地の地番とその敷地の上の建物の家屋番号とが異なることがある。

確定申告

確定申告とは、所得を申告するために、税務署に備え付けられている「確定申告書」という書面に必要事項を記入して、住所地の税務署に提出することを指す。

一般の勤労者の場合は、毎月の給料と賞与から所得税が自動的に源泉徴収され、さらに年末調整によって所得税の納税が完了する。
従って通常は、一般の勤労者は所得税の納税について確定申告を自ら行なう必要はない。

しかし、住宅ローン控除を1年目に受ける場合、給与を2ヵ所以上から受けている場合、医療費控除を受ける場合などには、勤労者が自ら住所地の税務署に出向いて、確定申告を行なう必要がある。

確定申告書の記入は一般の個人には非常に難しい。そこで確定申告の時期には、各税務署の中で、地元の税理士会に所属する税理士たちが無償で個人の相談に乗り、確定申告書の記入を無償で代行してくれている。

確定申告は、毎年2月16日から3月15日までに行なうこととされている。ただし、所得税の還付を受ける場合には、2月16日以前でも確定申告を行なうことができる。

なお、不動産の貸付けによる所得(不動産所得という)がある個人は、必ず確定申告を行なう必要がある(詳しくは「青色申告」、「白色申告」へ)。

火災危険度

地震時に発生する出火による建物の延焼被害の危険性をいう。

自治体単位で公表しているもので、東京都は定期的に町丁目ごとに火災危険度を測定し、公表している。
東京都による火災危険度の測定は、東京消防庁による「出火危険度測定」および「延焼危険度測定」の調査結果に基づいて評価算定され、東京都の評価結果は、町丁目ごとに5段階のランク分けをして公表されている。
測定された火災危険度は、木造住宅密集地域整備事業、都市防災不燃化促進事業、防火地域の指定、防火規制等の地域選定に活用されている。

火災保険

火災による損害を補填するための保険。

火災保険契約を締結すれば、住宅、家財、店舗、工場、事業用資機材等が火災によって消失、損傷した場合に、生じた損害に対して保険金が支払われる。

一般に、火災のほか、落雷、爆発、風災などによる損害についても補填するよう設計されている。ただし、地震によって発生する火災の損害は、火災保険ではなく地震保険(火災保険に付帯されることもある)によって補填される。

火災保険の保険期間は、一般に、生命保険に比べて短い。また、保険金(保険者が支払う金銭)は、生命保険と違って、原則として被保険者が現実に被った損害額に基づいて算定される。

角部屋

分譲マンション・賃貸マンション・アパートで、各階の廊下の端にある住戸、または廊下が屈折している場合にその屈折部にある住戸のこと。

各階の廊下の端にある部屋を「端部屋」、屈折部にある部屋を「角部屋」と呼んで区別することもあるが、通常は両者を合わせて「角部屋」と称している。
「角部屋」(端部屋を含む)は日照が良く、隣室の騒音の影響を受けにくいなどの利点があることが多いため、分譲価格・家賃において同じ階の通常の住戸よりも高いことが多い。

環境アセスメント

事業等に伴って生じる環境影響を事前に予測・評価して、意思決定に活かすための仕組みをいう。

環境アセスメントは、次の要素から構成される。

1.意思決定の前に環境影響を調査・予測する
2.より良い意思決定のために代替案等を検討する
3.予測結果等を公開し、公衆からの意見表明を求める
4.予測結果や表明された意見を、最終的な意思決定に反映する

つまり、環境アセスメントは、意思決定の最適性(better decision)を確保する手法である。

このような仕組みを法制化したのが、環境影響評価法であるが、環境アセスメントは、この法律による手続きに限定されないより広範な仕組みであることに注意が必要である。

なお、公有水面の埋立、土地区画整理事業、宅地造成事業などのうち一定の要件に該当するものは、環境影響評価法による環境アセスメントを実施しなければならない。

管理委託契約

管理組合がマンション管理会社に対して、分譲マンションの管理を委託する契約のこと。
このとき、マンション管理会社がマンション管理法に定める「マンション管理業者」であるならば、次のことを行なう義務がある。

1.マンション管理会社は、管理委託契約の締結前に一定の重要事項を説明しなければならない(マンション管理適正化法第72条)。
2.マンション管理会社は、管理委託契約を締結するときに、一定の事項を記載した書面(通常は管理委託契約書)を遅滞なく交付しなければならない(マンション管理適正化法第73条)。

管理会社

不動産所有者の委託により、その所有する不動産の管理業務を行なう企業をいう。

管理業務の内容は、大きく分けて、設備の保守・点検、防火・警備など(作業の実施)、賃料や共益費の徴収、諸料金の支払いなど(経理事務)、テナントの募集、賃料の改定、修繕計画の立案など(経営的業務)がある。このように幅広い業務があり、そのための技術も多様であることから、その一部を受託することが多い。

なお、管理会社は、管理の対象となる不動産の性格に応じて、マンション管理業、ビル管理業、賃貸住宅管理業に大別できる。このうちマンション管理業については、法律に基づき登録する義務がある。また、賃貸住宅管理業については、国土交通省の告示による登録制度がある。

カーテンウォール

高層ビルや高層マンションにおいて、建築物自身の軽量化を実現し、地震の際にガラスが飛散することを防止するために開発された非常に軽量な外壁のこと。

通常の高層建築では鉄筋鉄骨コンクリート構造を採用し、外壁が荷重を支え、かつ地震力や風圧力に対抗する役割を有しているが、高層化が進むと、外壁自体の重さが課題となった。また高層建築で柔構造(地震の揺れに抵抗せずにしなって地震力を吸収するような建築構造)が採用されると、地震の際に壁面の変形によりガラスが飛散することが問題となった。

こうした問題を解消するために、建築物の主要構造を柱と梁とし、外壁は構造体に張り架けただけのものとし、かつ外壁をウロコ状に配置して建物のしなりによる歪みの影響をごく小さくするという工法が開発された。

この工法による外壁のことをカーテンウォールと呼ぶ。またカーテンウォールを採用すると、外壁施工の際に建物外部に足場を組む必要がないため、施工しやすいという長所もある。

わが国では初期の代表例としては、霞ヶ関三井ビルのアルミカーテンウォールが挙げられる。
その後、さらに改良を加えたハニカムアルミパネルや、ガラスカーテンウォール、チタンパネル、セラミックパネル、PCカーテンウォール(=プレキャストコンクリートカーテンウォール)などのさまざまな製品が登場している。

 

カーペット

床に敷く厚手の織物。英語のCarpetで、「絨毯」は同義語。

カーペットは、織り方や繊維素材によって多数の種類がある。織り方は、トルコ絨毯、ペルシャ絨毯、中国緞通のような手織の絨毯、ウィルトン織、ジャガード織のような機械織によるカーペット、タフテッド、フックドラグのようなパイル植込によるカーペットなどに分類できる。繊維素材としては、羊毛、木綿のような天然繊維のほか、化学繊維も使われている。

なお、敷物としては、カーペットのほか「ラグ」があるが、カーペットは床のほぼ全面を覆うのに対して、ラグは小型で移動可能なものを指す。

カーボンニュートラル

人間活動において、二酸化炭素の排出と吸収が相殺されてゼロであることをいう。

例えば、植物のからだは空気中の二酸化炭素が固定化されたものだから、その燃焼(バイオマス燃料の利用)によって二酸化炭素が排出されてもカーボンニュートラルである。また、人間活動に伴う二酸化炭素の排出量を、自然エネルギーを導入して相殺することもカーボンニュートラルであると考えられる。

アメリカのグリーン・ニューディールにおいては、建物のカーボンニュートラル化が目標の一つとされている。

カーポート

屋根と柱のみで壁がない簡易な自動車車庫をいう。英語のCarport。

カーポートは、車庫と違い建物ではないが、青空駐車場と違って雨を避けることができる。

ガスオーブン

ガスを熱源とするオーブン。英語のgas oven。

電気オーブンに比べて、火力が強い、予熱時間が短い、容量が大きいなどの特徴がある一方、設置のために広いスペースを必要とする。

ガスレンジ

ガスを熱源とし、コンロとオーブン(天火)やグリル(焼き網)を組み合わせた調理器具。英語のGas range。

ガスレンジのコンロには、一般に複数のバーナーが付いている。また、ユニットキッチンに組み込まれる場合もある。

ガラスブロック

ガラスを素材とするブロック材。壁材、装飾材などとして利用されている。英語のglass block。

外側が厚ガラス、内部は低圧の中空となっていて、煉瓦ブロックに比べて、透光性、断熱性に優れるとされる一方、施工に当たっては、耐火性、耐震性の確保に注意しなければならない。

規制緩和

民間の産業活動や事業活動に対する政府の規制を縮小すること。
政府は、民間事業の活動について、安全の確保、技術基準の統一、競争の適正化、消費者の保護などさまざまな観点から規制を加えているが、これを緩和して活発な産業活動を促す政策が取られている。例えば、すでに行なわれた規制緩和としては、タクシー台数の制限撤廃、電力自由化、酒類免許制度の撤廃、農業への株式会社参入などがある。

不動産業に関係する規制緩和としては、土地利用に関する規制の緩和が進められ、容積率高さ制限などの見直しが推進された。

規制緩和は、社会の秩序を維持する方法として市場メカニズムをよりいっそう活用しようという考え方にもとづくもので、その背景には、社会経済活動の効率性を高めることが善であるという価値判断がある。しかし一方で、公共性を確保することも重要であり、規制緩和による弊害が生じていないかどうかに注意が必要である。

なお、規制緩和に似た政策として政府業務の民間開放がある。政府企業の民営化、指定管理者制度、PFI、市場化テストなどがそれであるが、市場メカニズムを活用することは規制緩和として共通しているものの、事業の主体を政府から民間に移すことに主眼があり、規制緩和とは別の政策として考えるべきであろう。

キャッシュフロー計算書

企業の一会計期間におけるキャッシュ・フロー(現金の出入り)の状況を明らかにする書類をいう。

英語でCash Flow Statementといわれることから、CS(またはC/S)と略されることもある。

損益計算書は、営業収益(売上高)や費用は取引が行なわれた時点で計上すること(発生主義)、設備費用を減価償却により複数年度にわたって計上することから、現実の金銭の出入りをそのまま反映したものではない。だが、取引においては、企業の支払能力が重要であることから、現金の出入りを明確に示すことが要請される。
そこで、キャッシュフロー計算書を作成して、一会計年度、半期または四半期における資金の流入・流出を表示することとされている。

キャッシュフロー計算書は、資金の出入りの原因に対応する形で、営業キャッシュフロー(営業活動に伴う現金の動き)、投資キャッシュフロー(投資活動に伴う現金の動き)、財務キャッシュフロー(財務活動に伴う現金の動き)の3つに分けて表示されている。
キャッシュフロー計算書によって、企業活動による現金の動きを把握し、事業活動の状態等を分析するための基礎的なデータを得ることができる。

共同仲介

1つの不動産取引を複数の不動産会社が共同で仲介することをいう。

「共同媒介」ともいう。

売り手と買い手をそれぞれ紹介し合う場合のほか、売買や賃貸借の依頼情報を共有して業務に活用する場合や、代理店などによって一体的に仲介業務を行なう場合なども共同仲介である。

大規模に店舗を展開している不動産会社は別として、一般的には、不動産取引の媒介は共同で実施する場合が多い。不動産取引を迅速・公正に仲介するためには、情報を共有することが有効だからである。

切り土

傾斜のある土地を平らな土地にするために、地面を掘り取ること。

宅地造成工事規制区域の中にある宅地において、高さが2mを超える崖を生じるような切り土をする場合には、着手する前に、知事(または政令市・中核市・特例市の市長)の許可を受けることが必要である(宅地造成等規制法第8条)。

クーリングオフ

一定期間、無条件で契約の申込みの撤回または解除ができる制度。消費者を保護するための措置で、訪問販売、電話勧誘販売などに適用されるが、一定の宅地建物の取引もその対象となる。

クーリングオフの適用があるのは、

1.宅地建物取引業者が自ら売主となる宅地建物売買契約において、2.その事務所やそれに準ずる場所以外の場所で申込みや締結がされた場合であり、3.撤回または解除ができるのは8日間以内

である。

撤回または解除は書面で通知しなければならないが、その理由などを示す必要はなく、発信日を明確にすれば良い。その通知があったときには、売主は速やかに手付金等受領した金銭を返還しなければならない。

ケアハウス

1989年にスタートした後に登場した比較的新しいタイプの経費老人ホーム。ケア付となるので、優良老人ホームと同様に、介護保険法の特定施設となれる。

指定基準を満たす職員が配置され、居室は専有部分が21.6平方メートル以上(共同生活室を設けるユニット型の場合は15.63平方メートル以上)で、トイレ・洗面所・ミニキッチン・収納が備えられている。
費用は、家賃・事務費・生活費を月額で支払うのが一般的。

ケアマンション

高齢者の居住の利便性を高めた集合住宅のこと。シルバーマンションともいう。

空間の設計や設備が高齢者の居住に適する他、介護、給食など日常生活に対する支援サービスを伴うことが多い。分譲、賃貸の両方のタイプがある。

高齢者の居住に関しては、

1.バイアフリー、サルデザインを採用するなどの空間・設備デザインについての工夫、2.生活の手伝いや健康保持・医療サービスのような高齢者向け支援の提供、3.住宅費、生活費、医療費などを含めた経済的な負担の管理に対する支援

を総合的に考えなければならない。

コインランドリー

貸洗濯機店。洗濯機・乾燥機を備えていて、セルフサービスで洗濯することができる店舗のことで、「コインランドリー」は和製英語。英語ではSelf-service laundry、Launderetteなどという。

コートハウス

中庭(コートヤード)のある住宅。街路などの公共空間に対して閉鎖性が強い一方、中庭に対しては開けていることが特徴である。


コートハウスの中庭は、通風、採光などの機能を担うほか、私的なオープンスペースとして利用されることが多い。

コーポラティブハウス

土地・建築物を共有し、居住することを前提に、入居予定者が事前に組合を結成、その組合員による協同建設方式で造られた住宅のこと。

土地の入手から建物の設計・建設・管理等における諸問題をその組合で対処していく。自分たちで話し合い、解決するため大変なことが多いが、独自性のある家づくりを可能とし、協同製作の楽しさも味わうことができる。

さ行

サブリース

賃借人が第三者にさらに賃貸することであるが、特に、住宅の管理を手がける事業者が賃貸住宅の所有者から住宅を一括して賃借し、それを入居者にさらに賃貸するという賃貸住宅経営の方法をいうことが多い。この場合、一括して賃借する事業者を、サブリース事業者という。

賃貸住宅の所有者は、賃借人の募集、家賃の設定や改定、住宅の管理などの業務に責任を負うことなく賃貸料を得ることができるが、サブリース事業者とのリスク分担や空室の取扱いなどについて明確にしておく必要がある。

た行

対面キッチン

ダイニングルームと開放的に向き合う配置となっている調理台。

調理室とダイニングルームとの間に大きな窓を設けて設置する方法、ダイニングの一角にキッチンを据え付ける方法などがある。

DIY

自分自身でモノの製作や修理を行なうこと。Do It Yourself(あなたが自ら行なえ)の略語。

日曜大工、設備や器具の自己組み立て・自己修繕などは、おおむねDIYである。

なお、「自分でできることは自分で行なう」という考え方や態度をさす場合もある。この場合には、モノの製作などだけでなく、サービス活動も含めて広く捉えられている。

ドーマー

屋根から突き出した切妻の小屋根付き窓のこと。ドーマーウィンドウともいう。

採光と換気のために用いるが、最近は、外観上のデザインアクセントとして付けることもある。屋根面に完全にのったルーフドーマーウィンドウ、軒部分から立ち上がるウォールドーマーウィンドウがある。

な行

24時間換気システム

給気又は排気を、常時、機械によって行なう仕組み。新築住宅を建築する場合に設置が義務付けられている。

機械によって吸気・排気する換気効果が高い方法(第1種換気、難点は運転のためのコストが高いこと)、機械で吸気し自然に排気するクリーンルームなどで採用されている方法(第2種換気、難点は結露などの恐れがあること)、自然に吸気し機械で排気する住宅に多く使われている方法(第3種換気、難点は部屋ごとに吸気口を設置しなければならないこと)がある。

ノンバンク

預貯金業務をせず、貸出業務(信用供与)のみを行なう金融機関をいう。英語のnon-bank financial institution。

消費者ローン、信販、クレジットカード、リース、ベンチャー・キャピタルなどの事業形態がある。

営業する場合には、一般に、金銭の貸付け又は金銭の貸借の媒介を行なう事業として「賃金業法」に基づく登録を必要とする。また、同法によって、利息制限法の上限金利(元本10万円未満の場合は年利20%、10万円〜100万円の場合は年利18%、100万円以上の場合は年利15%)を超える利息(礼金、割引金、手数料、調査料その他の名目を問わない)を受け取ってはならないとされている。そのほか、貸金営業について、業務に関して取得した資金需要者等に関する情報を適正に取扱うこと、貸金業務取扱主任者の設置、重要な事項を告げない行為の禁止、不確実な事項について確実であると誤認させる恐れのあることを告げる行為の禁止などの業務規制が課せられている。

ま行

メゾネット

マンションにおいて、上下2階にわたる住戸のことを「メゾネット」という。

上下に広い空間を確保し、一戸建てのような内部空間を作ることができる。

ら行

ルーバー

日照調整のために天井または壁面(開口部)に設けられる、固定または可動の羽根状の板。

ロフト

次のような3つの意味がある。

1.屋根裏の空間を利用して造られた部屋
2.床から天井までの高さが大きい部屋において、天井近くに設置された物置等に利用できる空間
3.1つの住戸内において、2つの部屋が上下に連続した形で造られているとき、上のほうの部屋

わが国では、主にマンション・アパートで2.の意味で使われることが多い。

わ行

分かれ

不動産業界で使われる用語の意味としては、不動産取引(主として売買)の媒介報酬を配分すること、あるいはその際のルールをいう。

一つの取引に対する媒介報酬は、売り手と買い手が支払う報酬の総額であるが、複数の宅地建物取引業者が取引に関与した場合には、その配分を決めなければならない。配分についての決まったルールはないが、取引に当たっての貢献度に応じて配分されるのが通例である。

例えば、売り手・買い手が異なる業者に取引の媒介を依頼して成約すれば、一般的には、それぞれの依頼者が支払う報酬をそれぞれの業者がそのまま受け取るという「分かれ」となる。

1R

一部屋で構成する住戸又はその間取りをいう。居室(リビング)、浴室・トイレ、キッチンを備えている。英語でOne-roomとつづれるが、意味上は和製英語である。

「ワンルームマンション」は、ワンルームで構成された集合住宅又は住戸そのものをさすが、その間取りは、一つの居室とキッチンスペースとが仕切られ、キッチンが独立しているタイプのものが多い。一方、「ワンルーム」のなかには、部屋に間仕切りがなく、キッチンスペースを含めて一部屋だけの住戸もある。

不動産の間取り表示において、キッチンスペースが仕切られているワンルームを「1K」、仕切られていないワンルームを「1R」と区別する場合がある。